開発秘話を担当者に取材!ダイドードリンコのおしゃべり自動販売機について開発経緯・活用事例を深堀りしてみた
2024.05.17
編集部:浅井さん、おしゃべり自動販売機について記事を書きたいので、開発経緯を教えてください!
浅井さん:面白い記事だね!実は自動販売機のおしゃべり機能は、当時ダイドードリンコの自動販売機に付いていたポイントカード(商品を購入するごとにポイントを加算していくサービス)の「音声ガイド」として導入したことがきっかけなんだよ。
編集部:ポイントカードの使い方を自動販売機が音声で説明してくれたんですか!?おしゃべり自動販売機はポイントカードがきっかけとなって開発されたものだったんですね!
浅井さん:当時は業界の競争が激化する中、自動販売機は1990年代後半から省スペース化とコストダウンが進んで、デザインもシンプルで味気ないものになろうとしていた。そこで「自動販売機をお店」と捉える当社ならではの取り組みとして、お客様とコミュニケーションが取れる「ポイントカードと音声機能に着目」したんだよ。
編集部:ダイドードリンコならでは!確かに他のメーカーさんではあまり見かけない機能ですもんね。
浅井さん:音声で説明する自動販売機は、1980年代にも設置していた事があるんだけど、当時は機械がしゃべる事になじみが無くて「うるさい」など、なかなか受け入れられなくて…。以来、自動販売機がしゃべることは業界のタブー!?とされてきたんだよね。
でも2000年代になると、銀行のATMや駅の券売機など、しゃべる機械が増えてきた。そこで改めて「今ならしゃべっても違和感無いんじゃないか!?」と考えて再チャレンジしたんだよ。
編集部:開発する中で工夫されたことはありますか?
浅井さん:しゃべるとはいえ自動販売機だからね。より温かみを出すために、無機質な合成音声ではなくて、人の声を使うことにしたんだよ。声優さんに感情を込めていただいて、まさに自動販売機の前にいるお客様に語りかけるように意識した。開発当時は女性の声で30フレーズの標準語を展開したんだけど、すぐに「自動販売機にいってらっしゃいと言われるのが日課になりました」や「ビックリしたけど楽しいですね」というお客様からの嬉しいお知らせがホームページなどに寄せられて、嬉しかった!
編集部:当時は女性の声だったんですね!おしゃべり機能といえば、男性の「まいど!」という声のイメージが強いのですが…(笑)
浅井さん:そうそう、テレビとかで関西弁が日常会話的に使われていることをヒントに、誰が聞いてもわかりやすい関西弁のおしゃべり機能を追加して、全国の自動販売機に導入したんだよ。フレンドリーなイメージと軽やかな男性の声で親しみやすいイントネーションが話題になって、おしゃべり機能が市民権を得つつあるなと感じたのもこの頃だね。
2005年になると、外国語を追加して、英語・ポルトガル語・中国語が流れる自動販売機を観光地に設置したり、年末年始やクリスマスといった季節のイベントにも対応したフレーズを加えて、もっと楽しんでもらえるように工夫した。標準語、関西弁だけじゃなくて、津軽弁、名古屋弁、博多弁なども増やして、より地域色を強めたおしゃべり機能が登場したんだよ。お客様にダイドードリンコの自動販売機をより身近に感じていただきたいと思って取り組んでたら、バリエーションが増えていった、というわけ(笑)